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金沢音楽制作

金沢音楽制作では、楽曲・楽譜の制作と、作曲や写譜などレッスンを行っています。


299)改めていま『構造と力』を読む

中公文庫から文庫で出版された、浅田彰の『構造と力』(2023)を買った。あとがきは千葉雅也が担当しており、帯には「初刊から40年。」と記されている。1983年に勁草書房から出版された、いわば旧版は20代の頃に読んだことがある。その時は出てくる人物や用語が理解できず歯が立たなかった。そしていま、改めて『構造と力』を読む。

改めて文に目を落とすと、意味不明だった文章が少しは理解できるようになっていた。ここはバルトの、ここはバタイユの、ここはボードリヤールの、といった感じで、出現する用語とその背景がなんとなく分かるからだ(理解している訳ではない)。また、文献として取り上げられている資料が安く手に入る場合は、目を通すようにしている。というわけで、読み終えるのは一体いつになるか分からない。

ついでに『柄谷行人『力と交換様式』を読む』(文春新書、2023)を読んだ。この本は、柄谷行人の『力と交換様式』(岩波書店、2022)に関する講演と書評をまとめたものだ。柄谷行人については詳しくなかったが、かなり面白いし説得力もある。内容を簡単に説明すると、社会の下部構造にあるのは「生産様式(生産と生産関係)」、つまり経済ではなく、四つの「交換様式」である。その四つ目であるD様式(高次元での贈与と相互扶助の回帰)こそが、今後必要なものであり、また向こうからやってくるというものだ。

『力と交換様式』をしっかりと読んでみたいが、3850円とちょっと高い。というわけで、数年後に出るであろう岩波現代文庫版を待つことにする。なお、旧版の『構造と力』は将来有望な友人に捧げた。

2024-01-20