作曲・浄書・指導・音響

金沢音楽制作

金沢音楽制作では、楽曲・楽譜の制作と、作曲や写譜などレッスンを行っています。

音楽制作・作曲に必要なもの――アナログ編

本稿は、2017年4月16日に開催された「第三回文学フリマ金沢」で配布した冊子「音楽制作を始めるにあたって必要なもの」の「第一部:アナログ環境での音楽制作」を編集したものです。Webで公開するにあたり、記事や画像を割愛、修正してあります。


アナログ環境での音楽制作・作曲に必要なものと、その機能を網羅的にまとめてみました。漏れているものもあるかもしれませんが、重要なものは押さえたつもりです。なお、順番が必要の度合いを示している訳ではありません。デジタル編はこちら

五線紙

五線紙は楽譜を記述するための専用の用紙です。いきなり出版譜のような楽譜を作成することはあまりありません。断片的なメロディーやコード、文章などをメモ帳のように使うことが多いでしょう。最終稿が完成したら、後で述べる写譜ペンや楽譜作成ソフトで浄書をします。

五線紙には種類があり、リーズリーフやノートタイプ、見開きのパートタイプ、剥ぎ取り式のパットタイプ、そして大きな総譜用があります。どれを選択するかは使用目的や好みによります。コピーすることを考えると、パートタイプ、パットタイプをおすすめします。

五線紙の代表的なメーカーとして、松本、ECHO、Martinoなどがあげられます。松本のパートタイプは楽器屋での取り扱っていることが多いと思います。筆者は、Martinoの「No.311」という横長の18段の五線紙か、同じく横長のECHOの「TB-18」を愛用しています。どちらもB5ノビですが、A3でコピーができます。

五線紙の多くは規格サイズより少し大きい「ノビ型」を採用しています。A4サイズを購入しても、コピー機からはみ出ることが多いので、縦横のサイズを正確に確認するか、B5といった一回り小さいものを購入するのがよいでしょう。次に筆者が所有する五線紙のサイズを表にしました。

筆者が所有する五線紙のサイズ(線間・寸法/mm)
メーカー 品名 線間 寸法 備考
Martino No.311 18 1.4 H275
W395
B4ノビ、横長、片面パッド
Martino No.302 22 1.2 H358
W265
B4ノビ、縦長、片面パッド
Echo TB-18 18 1.3 H257
W364
B4、横長、片面パッド
Martino NO.3C 10 2.0 H297
W210
A4(見開きA3)、両面パート
松本 24B 24 1.3 H364
W270
B4、縦長、小節線付(6小節)、両面パート
松本 16TABLET 16 1.7 H257
W365
B4、横長、片面パッド
松本 A-12 12 1.9 H315
W233
A4ノビ(見開きA3ノビ)、片面パート
松本 A-10 10 2.2 H315
W233
A4ノビ(見開きA3ノビ)、片面パート
Ceaftone 不明 10 2.2 H297
W210
A4(見開きA3)、片面パート
コクヨ ノ-837M 12 2.0 H257
W182
B5、ルーズ
Depormp 不明 10 2.2 H257
W182
B5(見開きB4)、ノート
Berklee M-1 12 22 H277
W214
レター、両面パッド
Berklee M4 9 2 H277
W214
レター、両面パッド
Berklee M5 10 1.5 W214
H277
レター(横)、両面パッド、ポピュラー
Henle Merkheft fur Noten
und Notizen
8 1.5 H143
W105
A6(見開きA5)、ノート
Moleskine Carnet de musique 8 2.0 H140
W90
A6、手帳
ナカノ NBA-34/M 2 2.0 H36
W11
付箋

線間とは、五線の線同士の間隔の幅のことです。あまり狭いと太めの写譜ペンでは記譜するのは難しいです。また、12段の五線紙は作曲やアンサンブルの総譜に使われることが多く、10段の五線紙はパート譜に使われることが多いです。

鉛筆

五線紙に音符を書く(記譜と言います)ときには、何かしらのペンが必要となります。最も活躍するものとして鉛筆があります。シャープペンだと線が細すぎて音符の玉を書くのが少し大変です。音符と音符を繋げる連桁(れんこう)も細く見辛くなります。

筆者は、ステッドラーの「マルス ルモグラフ 2B」を愛用しています。同じ2Bでもメーカーによって色の濃さは違うので、是非自分にあった鉛筆を探してください。また、シャープペンは、シャープの「クルトガ」を使うこともあります。

消しゴム

音符や線を修正したいときは、消しゴムを使います。消しカスが少ない消しゴムを選択します。細かい消しカスが溜まると、鉛筆に引っかかって綺麗な楽譜が書けなくなますし、掃除も大変です。

筆者は、プラスの「AIR-IN エアイン ダストフリー」を愛用しています。消しかすを掃除するためのブラシやクリーナーなどがあると便利です。

写譜ペン

楽譜を浄書したり、パート譜を書いたりする時は、写譜ペンと呼ばれる楽譜を書くための専用のペンを使います。写譜ペンのペン先は平べったくなっており、横に書くと太く、縦に書くと細く書けるのが特徴です。

写譜ペンには様々な種類があります。万年筆の「ミュージック」と呼ばれるものがよく使われています。パイロット、プラチナ、セーラーなど、国内メーカーからも発売されています。その中で最も目にするのは、パイロット「カスタム74(MS)」です。また、美術で用いるカリグラフィーペンや、イタリックペンなどで代用することもできます。カリグラフィーペンは安価で使いやすく、プロでも愛用している人がいます。なお、楽器屋でよく目にするナカノ「写譜ペン P-100」はペン先がフェルトなので、一般的な写譜ペンとは違うものになります。

筆者が所有する写譜ペン
メーカー 品名 特徴
PILOT CUSTOM 74(MS) 最も普及しているモデル、筆圧の強い人には不向き
PILOT CUSTOM 742(MS) 74の上位モデル、全体的に大きい
PILOT HERITAGE 912(MS) CUSTOM 74よりニブが硬い、メインで使用
PLATINUM #3776(MS) CUSTOM 74の次に普及しているモデル、ニブが硬い
SAILOR プロフィット ニブの切り割りが一本
SAILOR ヤングプロフィット プロフィットの廉価モデル
SHEAFFER Single F カリグラフィーペン、適度な弾力があり使いやすい
Rotring ArtPen カリグラフィーペン、ニブが硬い
LAMY Joy カリグラフィーペン
PILOT プレラ カリグラフィ カリグラフィーペン、入手が容易
ナカノ 写譜ペン P-100 フェルトペン、楽器屋でよく見かける

おすすめは、ニブが硬めのPILOT「HERITAGE 912(MS)」です。PLUTINUM「#3776(MS)」や、SHEAFFER「Single F」も使いやすいと思います。いずれも筆圧が強い人でも使えると思います。逆に筆圧が弱い人はCUSTOM 74(MS)が使いやすいかも知れません。

万年筆は個体差がかなりあります。したがって、購入する際は、店舗で実際に触って決めた方がよいです。確認するのは、インクフロー、縦は細く横は太く描けるか、などを確認してください。安いからと言ってインターネットで購入すると失敗するかもしれません。

インキ/コンバータ

写譜ペンを使うにはインキが必要となります。インキは様々なメーカーから発売されています。おすすめのインクは、Monblancの「Mistery Black」というボトルに入ったものです。色が黒すぎないために見やすく、後で述べるようにインキ消しでも消しやすいです。最近では顔料系のインキもでていますが、インキ消しでは消えない可能性が高いです(未検証)。

ボトルに入ったインキを万年筆で使うには、別途コンバーターという吸引機が必要になります。コンバーターは、国産のペンは使用するメーカーに合わせた専用のものを購入する必要があります。文具屋ではレジ奥にあることが多いです。なお、ペンによっては吸引機能が構造に組み込まれているものもあります。

吸取紙/ブロッター

インクがなかなか乾かない場合は、吸取紙を使います。吸取紙の使い方は、インキが乾いていない箇所に軽く押し付けるだけです。すると用紙に残っていたインクが吸取紙に移ります。吸取紙はいくつかのメーカーから発売されています。簡単に入手できるのは、コクヨの「シム-1N」になります。また、ブロッターという吸取紙を取り付けて使う道具があります。

インキ消し

写譜ペンで書いた箇所を修正する場合は、インキ消しを使います。修正液のように白色をのせるのではなく、インキを化学反応で透明にします。インキ消しは、用紙へのダメージが大きいので必要な量だけ使います。注意点として、インキとの相性があります。インキによっては、消えにくい、または消えないものがあります。事前にメーカーに問い合わせたり、実験してみるなど調査が必要です。

筆者は、ライオン事務器の「インキ消液 万年筆用 No.100」を使っています。塗布する箇所が鋭角になっており、細かい部分も修正しやすいように工夫されています。

水性マーカー

インキ消しで消した箇所に再び写譜ペンを入れるとひどく滲んでしまいます。それを防ぐためには、マーカーを使用します。マーカーにも写譜ペンの様に、ペン先がカリグラフィーのようになったものがあります。それを利用すると簡単に修正できます。

現在発売されているものとして、プラチナ「PRO-USE CS-200N」と、パイロット「LETTERING PEN S-200DRLN1-B」があります。プラチナの方が線がハッキリとして使いやすいですが、入手が難しいです。どちらも画材屋かインターネットで購入できます。

なお、マーカーを使用しても滲む場合があります。絶対の信頼があるわけではありませんが、持っていて損はありません。また、上記のマーカーの入手が難しい場合は、太いペンと細いペンの2本を組み合わせて代用することも可能です。

定規/フローティング

綺麗な線を引くときは、定規を使います。主として三角定規を使用し、90度の角周辺を使います。タケダの三角定規が肉厚で使いやすくおすすめです。スラーやタイなどの曲線を書く時には、曲線で構成された雲型定規を使う人もいます。また、自由に曲げて好きな曲線を作って引ける「自在曲線定規」というものもあります。

三角定規をそのまま使うと、用紙との接点からインクが滲みます。それを防ぐためには、定規と用紙の接地面に隙間を作るフローティングディスクを使います。フローティングディスクは製図用品コーナーで売っていますが、中々見つからないかも知れません。探す手間を考えると、送料を払ってインターネットで購入するのも一つの手段です。なお、フローティングディスクは、2枚、3枚と使いやすい高さになるまで重ねて貼ります。筆者は、ウチダ「フローティングディスク 100-0040」を仕様しています。重ね貼りしやすく、またすべりも良いです。

楽器

楽器があった方が音楽制作は捗ります。楽器は音を確かめるだけではなく、演奏することで感性が刺激され、新しいアイデアが生まれたりします。クラシックの有名の作曲家も脳内だけで作曲している訳ではありません。楽器で音を確かめて修正したり、弾きながら作曲したりしています。

楽器を選ぶときは、ピアノやギターが良いでしょう。この二つの楽器は、メロディー、そしてコードの両方を弾くことができます。単音しか出せない楽器だと、コードの響きを確認することが困難です。おすすめはミニ鍵盤のキーボードです。場所をとらず、様々な音色が出せます。スピーカーが内蔵されていなくても問題なければ、更に小型で高性能なものもあります。ギターの場合はエレキギターがおすすめです。音域が広く、生音でも音量が小さいのが利点です。また、エレキギターでアコースティックギターの奏法を再現することもできます(逆は困難です)。

ストップウォッチ

楽曲の速度や、小節の時間を測定するには、ストップウォッチを使います。必須アイテムという訳ではありませが、現代的な曲を書く時や、テンポを取る時など、ちょっとした時に重宝します。

選ぶ時は、「ピッ」「カチッ」など、操作音が鳴らないものがよいです。筆者は、SEIKO「サウンドプロデュサー」という、放送・音楽用のストップウォッチを使っています。また、60進数での計算機能も備わっています。ただ、自室で使うならスマートフォンで十分かもしれません。

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