作曲・指導・C言語・Linux

金沢音楽制作

金沢音楽制作では、楽曲・楽譜の制作と、作曲や写譜などレッスンを行っています。


293)Wikipedia探偵

綾辻行人『十角館の殺人』のWikipediaを読んで犯人を推理する、という遊びをした。そこには既に読んだことがある人(=審判)がいて、正解か否か問うことができる。当たり前だが、ぼくは『十角館の殺人』は未読だ。叙述トリックを使ったミステリーである、というくらいは知っている。

さて、Wikipediaの『十角館の殺人』の項を読むといくつかの情報が分かる。たとえば次のようなことだ。

メインの推理は「推理小説研究会の合宿」の項を見て行った。なお、以下に述べる推理は、実際の推理順ではない。

まず、分かることとして、前年に死亡した中村千織の復讐であることが挙げられる。つまり、その親近者あるいは恋人による復讐殺人であること。つぎに、殺人の手口と順番は次の通りであること。オルツィ(寝室で絞殺)、カー(コーヒーで毒殺)、ルルゥ(朝以前に海岸で殴打)、アガサ(浴室で毒殺)、ポウ(タバコで毒殺)、エラリィ(灯油で焼死)。

これから次のことが見えてくる。まず、一人目のオルツィが寝室で絞殺されているので、顔見知りの犯行であること。つぎに、ルルゥだけ死因や状況が大きく違うため、咄嗟の犯行であったこと。そして、一人だけ名前が挙がってないこと、つまり推理研究会は〝6人〟しか死亡していないこと。

以上から、犯人は上記に名前が挙がっていない〝ヴァン〟であると推論する。そして、本土の誰かがヴァンであり、本土と島を往復しながら犯行に及んでいる。その論拠は、ルルゥの死因である殴打と海岸という場所にある。ルルゥは、ヴァンが上陸する瞬間を目撃したために撲殺されたと考えるのが自然だからだ。したがって、島は外部と遮断されたクローズド・サークルでないといえる。

しかし、問題はここからである。本土の誰が犯人なのか、これが皆目検討がつかない。島がクローズド・サークルでない以上、誰にでも犯行が可能だからだ。順当に考えれば、中村千織の親近者である中村紅次郎や有名作家のニックネームが付けられそうな人が怪しいが、あまりにも安直すぎるだろう。仮に他の誰がか中村千織の恋人だったとしても、そんなこと知る由もない。

こんなことしている内に朝3時迎えてしまった。というわけで、真相にたどり着けなかった。つまりWikipeda探偵なんて存在しなかったのだ。その一方で、真相が全く気にならないので、今後『十角館の殺人』を読むことはない。文学として楽しめずにイライラしそうだ。

2023-12-01