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金沢音楽制作

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172)対象を明瞭にすべき

6月15日、一時支援金のマイページのスタータスが「申請内容確認中」から「お振込み手続き中」に変化した。申請したのは、5月21日夕方だから、3週間と4日、つまり25日かかった。そして、振り込みまでの日数を考えると、丸一月かかることになりそうだ。

一時支援金の申請は、かなり少なかったようである。「中小向け一時支援金余る 厳しい要件、予算の2割どまり」(日本経済新聞、2021-06-14)によると、表題が示すとおり、なんと予算の2割(!)どまりとのことである。記事が有料なので冒頭しか読めないが、給付対象の要件の厳しさがあげられているようだ。

売上50%減少という要件の厳しさもあるが、なによりも対象が不明瞭なところに大いに問題がある。一時支援金の給付対象ついて、公式サイトより引用を示す。

一時支援金の概要
2021年1月に発令された緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛により、売上が50%以上現象した中小法人・個人事業主の皆様に、「緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金」(一時支援金)を給付いたします。
ポイント1 緊急事態宣言に伴う飲食店時短営業又は外出自粛等の影響を受けていること※2
ポイント2 2019年比又は2020年比で、2021年の1月、2月又は3月の売上が50%以上減少していること
※2 緊急事態宣言の再発例に伴い緊急事態宣言の発令地域(以下「宣言地域」という。)の飲食店と直接・間接的の取引があること、又は、宣言地域における不要不急の外出・移動の自粛による直接的な影響を受けていること

上掲の引用を読むと、対象がいまいちはっきりとしない。しかし、ポイント1とポイント2両方の要素を満たせば対象になることは分かる。それぞれのポイントを、ポイント2から見てみよう。

まず、ポイント2。売上が50%以上減少した月の有無について聞かれている。これは、定量的に判断できる。昨年か一昨年の売上高が半分以下になる月を単純な計算で導くだけである。つまり、問題はポイント1にあるのだろう(事業にもよるけど、売上高50%以下ってもう壊滅でしょうよ)。

では、ポイント1。二つの要素の論理和が要件になっている。つまり、二つある要素の一方を満たせばよい。一つ目は、飲食店時短営業による影響を受けたもの。二つ目は、外出自粛等の影響を受けたものだ。まず、一つ目は、飲食店と直接取り引きをしている事業者を指しているのだろう。たとえば、食品や備品の卸業者などだ。なるほど、これに関しては想像がつきやすい。だとすれば、問題は二つ目の外出自粛等の影響を受けたもの、にありそうだ。

外出自粛等の影響を受けたもの、とは一体何を指すのか。この定義があまり不明瞭なことから、自分は対象外だと錯覚し、申請が少なかったのだと想像する。文脈から察すると、やはり飲食と直接・間接的に関わりのある業種だと想像してしまう。結論からいうと、ほぼ全ての事業に当てはまっているといえる。というのも、外出自粛等の影響の強度と範囲なんて、誰にも分からないからだ。端的に、売上が50%も下がっていれば、それは影響を受けたといって差し支えないだろう。

だとすれば、ポイント1には、申請させないことを目的としているのではないか。そもそも、売上が50%も下がっていて、無影響な訳がない。そして、申請が2割どまりだったことは思惑通りだろう。中小企業なんてどうでもよくて、パソナや電通といった大企業、そしてお友達企業にお金を回すことが目的なのだから。

さて、1〜3月は一時支援金が支給されたが、4〜6月からは月支支援金が改めて支給される。こちらは、要件が少し緩くなるが、支給額も相当軽くなる。書類を集めて事前確認するほどの効果があるのか疑問だ。なお、一時支援金が支給済みの人は、簡単に申請できるようだ。

追記(2021-06-29):6月24日に、ステータスが「お振込手続き完了」に変化した。これで月次支援金も応募できるようになったが、これも処理が非常に遅いとのことだ。というのも、月次支援金は、なぜか一時支援金と同じ事務局で運営しており、一時支援金が遅れた分、月支援金も遅れるとのこと。

2021-06-17