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金沢音楽制作

金沢音楽制作では、楽曲・楽譜の制作と、作曲や写譜などレッスンを行っています。


162)早送りで観ること

少し前に、「「映画を早送りで観る人たち」の出現が示す、恐ろしい未来」という記事を読んだ。内容を端的にまとめると、映像作品を早送りや10秒飛ばしで見ることは、作品が持つ本来の意味が失われる可能性がある。そしてそれは、作品を鑑賞するのではなく、コンテンツの消費だという。

言ってることはもっともだし、よく分かる。美学的(?)にいえば、バルトの「第三の意味(鈍い意味)」やユベルマンの「痕跡」を大切にしろよ、ということなのだろう。そういう教養的な鑑賞はあって当然なんだけど、一人で観てるんだから、好きに観させてくれよ、とも思う。

ぼくも映像作品を飛ばして観ることがある。その作品を見る前からエンタメと決めつけて観ているからだ。エンタメ目的は、観る人を快楽に誘うものだから、それはそれでよいと思っている(ここのアートとの違いがある)。もちろん、途中から教養的に観たくなって見直すこともある。

あと、VHS時代からn倍速再生機能はあったから、早送りで観る人たちの出現は決して最近の話ではないのではないだろうか。また、音楽でいえば、名曲の「さわり」だけ聞く、というのは案外普通だったりする。NHKの『名曲スケッチ』や『名曲アルバム』はその類だろう。ただ、早送りで聞くことだけはないが。

2021-04-10