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金沢音楽制作

金沢音楽制作では、楽曲・楽譜の制作と、作曲や写譜などレッスンを行っています。


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93)ファクトチェックを知る

最近になって「ファクトチェック」の意味を知った。ずっと「事実確認」のことを指してると勘違いしていたのだ。立岩陽一郎・楊井人文の『ファクトチェックとは何か』(2018)によると、ファクトチェックとは、すでに公表されている公益性の高い言説を対象として、それを第三者が真偽を評価・調査し、その検証結果を公開し、それを社会と共有する、というものである。一方、事実確認は、調査の過程で不果実な情報を除外するもので、その真偽を積極的に公表するものではない。したがって、ファクトチェックと事実確認は、どちらも事実調査を行う点は共通項であるが、その目的は全く異なるものである。

ファクトチェックの特徴をもう少し具体的にみると、ファクト(事実)とオピニオン(意見)を峻別し、ファクトのみを対象に評価する。そして、その真偽に関わらず、背景を捨象して結果の真偽のみに焦点を当てるものである。たとえば、「消費税率を2%引き上げると、約4兆6000億円の税収になる」「内需主導の力強い経済成長が実現」といった政治家の発言は、公益性が高く、また根拠(真偽)を辿ることが可能なのでファクトチェックの対象である。その一方で、「岩波書店は左翼の洗脳本だ」というのは個人の感想、つまりオピニオンなのでファクトチェックの対象から除外されるのである。

では、日本でファクトチェックが広がっているのか、といわれれば、どうやら普及していないようだ。というのは、日本のジャーナリズムにおいてファクトチェックは、実際にそのような発言はあったのか、という使い方がされているし、また、そもそもとして記者のマンパワー不足でもあるようだ。いずれにせよファクトチェック自体は非専門家の個人でも十分に可能であることが当書で示されている。昨今は自身がメディアであることを隠蔽する、まとめサイトやSNSに振り回されないためにもファクトチェックというものを知っておく必要があるだろう。

『ファクトチェックとは何か』は、岩波書店の叢書の一つである岩波ブックレットから刊行されている。岩波ブックレットは、600円前後と安価な上、幅広い知識(の導入)を与えてくれる。

2019-10-08


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