作曲・浄書・指導・音響

金沢音楽制作

金沢音楽制作では、楽曲・楽譜の制作と、作曲や写譜などレッスンを行っています。


7)文学と音楽は似ている?

文学と音楽は異なる芸術表現でありながら、その本質は意外と近いのかな、と最近思いました。たとえば、メロディーを構造化した楽節構造(独:Periode)は、文章構造に当てはめた考え方ではないでしょうか。また、使っている用語も音楽と類似しています。たとえば、エクリチュール、スティル、パロール、ラングなどで、これらは文学理論でよく使われるものです。ドゥルーズ/ガタリは、楽曲形式であるリトルネッロという語を使っています(繰り返すことの意らしいですが、わかりません)。

文学の場合は人によってその意味が変化します。しかし、音楽の場合は「絶対にこの意味である」という共通コードを作りたがる割には、あまり定まっていないようにも感じます。というか、音楽も人や状況によって意味が変化するのは当たり前のことでしょう。

中学校に教育実習にいった時の話です。授業の中で、学習指導要領に定められた「ワード」を積極的に使う、という取り組みがありました。そのワードは、プレートになっており、使ったら黒板にドンッ、と貼ります。たとえば、拍子、速度、形式、アコーギグ、デュナーミク、テクスチュアなどがあったと思います。この取り組みは、音楽用語を詰め込もう、というものでしょう。

音楽をやっている人なら、気がつくかもしれませんが「テクスチュア」なんて言葉はふわふわしすぎていて、専門以外の人が理解できるとは思えません。速度に関しても、Allegroを120BPSなんて覚えたらダメな訳です(120BPSは、単に平均値でしょう)。何がいいたいかというと、音楽も文学と同じく人や状況によって意味は変わってくる、ということです。

さて、次の引用文は、大学の「工芸論」の授業で貰った学習指導書に書いてあったものです(著者は失念)。

人がものを創り出す活動を一般的には〈芸術〉と総称されているが、これらの活動を大別して、文学、音楽、演劇、舞踊などの一群を音律的芸術([独] musische Kunste)と、絵画、彫刻、建築、工芸などの造形芸術([独] bildenden Kunste)がある。

文芸と音楽は共に、音律的芸術という分類にされています。この音律的芸術を見てみると、それぞれが相互に重要な関わりを持っていることが分かります。文学は物語や詩を音楽に(その逆)、音楽は曲想やリズムを舞踊にといったものです。

ところで、Googleで「音律的芸術」と検索してもヒットしません。Kunsteとドイツ語を使っているあたり、戦前に分類されたものかもしれません。美学は、戦前にはドイツに影響を受け、戦後にはフランス、アメリカに影響をうけたと芸術心理学系の本で読んだことがあります。

閑話休題。音楽を文学的に分析し再構築しているのは、小鍛冶邦隆くらいかも知れません(いかにもポストモダンって感じです)。歌曲おいて言葉のアクセントや抑揚とメロディーの関係を意識するといったものが、三善晃(1933-2013)以降だと思うと、音楽は文学と比較して、考え方が少し遅れているような気がします。

2017-10-03